駒の流儀・第6部

第29章「山岡組」

    
 仁歩犯則書記長 「本部長。山岡の組長さんは、今度の怪人60面相の事件を知ってるんでしょうかねえ?」

筒井村重本部長 「いや、知らないはずだ。まだ何も知らせてないし、彼らとは関係ないことだ」

     池袋へ向うタクシーの中で、筒井と仁歩が名前を呼んだ山岡とは、西池袋の指定暴力団<山岡組>の組長山岡鉄収のことだった。
      山岡組は、構成員130人で、池袋一帯を縄張りにしていた。

仁歩犯則書記長 「しかし、私はまだ慣れないですよ」

  筒井村重本部長 「はは。そうだな。私だって同じだよ」

     何度も来ているとはいえ、やくざの事務所は、あまり気持ちのいいものではなかった。

     【西池袋 山岡組事務所】

弐吐露隆若頭補佐<37歳> 「どうも。筒井の兄貴、ご無沙汰です」

    出迎えたのは、若頭補佐の弐吐露隆だった。3人いる補佐の中でも、組長の一番のお気に入りの子分である。

  筒井村重本部長 「組長はいるの?」

弐吐露隆若頭補佐 「いえ、まだ事務所には顔を出してませんが、若頭はおります」

     入り口でのやり取りを聞いて、奧の部屋から若頭の小茶園猛が出てきた。

小茶園猛若頭<38歳> 「兄貴、来てたんですか。ご無沙汰してます」

 筒井村重本部長 「若頭、その兄貴というのはやめてもらいたいな。こっちは素人なんだから」

小茶園猛若頭 「はは。そういっても組長の友人なら、俺たちにとっては兄貴分すから」

     組長の親友に、若頭はあくまでも礼儀を守っていた。

筒井村重本部長 「うむ。ところで、組長は居ないんだってね」

  小茶園猛若頭 「もう、そろそろ来ますよ」

   3人が、しばらくコーヒーを飲みながら談笑してると、組長の山岡が来た。

山岡鉄収組長<50歳> 「おう、珍しいな。なんか用があったのか?」

 筒井村重本部長 「ははは。用がないと来ちゃいけないのか? ・・・はは、実は用があった」

    筒井は、駒の流儀書の存在、怪人60面相と将棋連盟とのやり取り、2件の盗難、関東連合会としては何んとしても、その流儀書を手に入れたいこと等を説明した。

仁歩犯則書記長 「仮に組長さんの力で、流儀書を手に入れることが出来たら、連合会としての謝礼も用意しています。是非、力を貸して欲しいとの大橋理事長からの伝言です」

     仁歩は丁重に、大橋の言葉を伝えた。

山岡鉄収組長 「話は分かった。大橋のおじきにも恩があるし、ほかならぬ兄弟の頼みだからな」

  筒井村重本部長 「有難い。謝礼は弾むつもりだ」

山岡鉄収組長 「うむ。謝礼の金額は兄弟にまかせるが、難しい仕事だな」

     説明を聞いた山岡は、つかみどころのない事件であり、どこから手を付けたらよいのか思案していた。

筒井村重本部長 「必要な情報は、その都度知らせるつもりだ」

    筒井も、山岡の胸のうちを察していた。

  山岡鉄収組長 「そうしてくれ。力づくでやる仕事なら人数は揃ってるが、頭を使うほうは苦手なのが多いからなあ」

筒井村重本部長 「そんなことはない。若頭は大学出のインテリなんだし、組長は駄目でも、いい軍師が揃ってるよ」

    筒井は、若頭と補佐を等分に見た。

 山岡鉄収組長 「ははは。ま、やってみる。まかせとけ」

     この山岡組の参戦によって、怪人60面相の事件は、一層複雑な構図となっていくのである。
      駒音探偵団諸氏の頭脳が、どこまで付いて来れるか楽しみでもある。

投稿者: 悪魔仮面 投稿日時: 木, 04/08/2010 - 10:07 categories [ ]

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駒の流儀・第6部  第33章

第33章「現役のプロ棋士」

    <つまり、どういうことだね?>

  将棋連盟の米中会長も、先ほどまで居た警視庁の捜査三課長と同じ場面で、同じことを聞いた。

     【日本将棋連盟 会長室】

暇名小五郎 「はい。警視庁でも話したのですが、本当にこれから起こる対局のどれかが、偶然<駒の流儀>に違反したために、盗難事件が発生したのだろうかという疑問です」

  米中会長 「もう少し分かり易く言ってくれないかね。私は頭が悪くてね」

     実兄は、頭が悪くて東大にしか入れなかったが、弟はその兄よりは少し良くて、名人になれたと言いたげだった。
     自慢の種は尽きぬものである。

暇名小五郎 「つまり、盗難が起こる原因となる対局は、偶然ではなく、何かそこに方程式のような関連があるのではないかと考えたのです」

 越中褌事務局長 「しかし暇名さん、対局は終わったものではなく、これからのものですよ」

暇名小五郎 「わかってます。事務局長さんの言うとおりなのですが、この怪盗にはそこまで読み筋にあって、計算しながら行動しているようにみえるのです」

  米中会長 「うむ。例えばこういうことかな。これから行われる対局のうち、最初からどの対局が狙いなのか決まっていて、その理由付けが流儀書の心得ということだと」

暇名小五郎 「はい。その通りです」

     流石は平成の妖怪である。頭は良い。

暇名小五郎 「もしかすると順序が逆なのかもしれません。ターゲットが先にあって、原因が後です」

 米中会長 「なるほど。理由などは、後から何んとでもこじつけられるからなあ」

暇名小五郎 「ズバリ会長さんの言われたことが、私の推測です。もし私の読みが正しければ、3回目の盗難が起きた時点で、きっと新たな発見があるはずです」

  米中会長 「うむ」

       名探偵に誉められたようで、妖怪はご満悦だった。

温対記者 「暇名さん、3つの盗難が関連性があるとすると、それはどんな関連になるんですか?」

 越中褌事務局長 「まだ盗難は2つだけですよ。それからでないと・・」

暇名小五郎 「そうです。3回目の盗難を待ちましょう。その上で対策を立てます」

      暇名小五郎と温対記者は、将棋会館を出てくると、近くの鳩森神社の境内を歩いた。

温対記者 「暇名さん、ここへ来ると<闇の棋士事件>を思い出しますねえ」

 暇名小五郎 「そうですね。ここで殺人事件があったんでした」

     読者諸氏も、まだ記憶に新しいであろうが、連続射殺事件の始まりが、この神社であった。
      今回の連続殺人事件の始まりは、いったい何処になるのか、楽しみにして待っていていただきたい。
 

温対記者 「あれから、犯人を捜して全国を飛び回りましたよね」

 暇名小五郎 「はは。思い出せば、本当に難解で複雑な事件でしたね」

      こう言いながらも暇名小五郎は、その<闇の棋士事件>以上に、今度の事件は難事件であることを予感していた。

温対記者 「ところで暇名さん、怪人60面相とは何者でしょうかねえ?」

温対は、あらためて当面の課題を持ち出した。

 暇名小五郎 「温対さん。前にもちょっと言いましたが、私は怪人60面相はプロ棋士だと思ってます。それも現役です」

温対記者 「え! 現役のプロ棋士ですか?」

     ある程度予想していたが、実際に言われてみると驚きだった。

温対記者 「ほんとなら大変なことですよねえ。根拠は何ですか?」

 暇名小五郎 「もう少し事件が深くなったら、はっきりします。徐々にボロを出すはずです」

      暇名探偵も、現時点では確かなことは言えなかったが、怪人60面相の正体に迫る自信はあった。

駒の流儀・第6部  第32章

第32章「予測不能」

   それから数日後。暇名小五郎宛に、3通目の予告状が舞い込んできた。

  藤田舞子 「もう、これで3通目よ。しつこいわねえ。嫌だって言ってるのに」

    藤田嬢にかかると、まるでストーカーからのラブレターのようだ。

暇名小五郎 「読んでみて」

     藤田舞子が読み上げる文体の構成は、前2回と変わらなかった。

      親愛なる暇名小五郎君

        第3の流儀は『桂』の流儀である。

         そしてその心得は『礼』

        礼とは、<棋士は常に礼節を重んじ、品性を保たなければならぬ。いやしくも対局に遅刻したり、奇声を発したり、奇抜な行動は著しく礼儀を失するものであり、厳に慎まなければならぬもの也>

       これが流儀書に記されてある『礼』の心得である。
       この流儀に違反した者には、それにふさわしい品物を罰として頂戴するつもりだ。

         暇名小五郎名探偵の健闘を祈る。

               怪人60面相

  藤田舞子 「先生。もうほんとに頭にきますよねえ。なんなのこの人」

暇名小五郎 「はは。ほんとだね」

      暇名小五郎は、温対記者を誘って警視庁へ行くと伝えて、事務所を出た。

     【霞ヶ関 警視庁捜査三課】

世渡甚六三課長 「やはり来たね」

     怪人60面相からの手紙を手にして、世渡課長はニヤリとして呟いた。

  温対記者 「課長さんは、待ってたみたいですねえ。なんかうれしそうですけど」

        温対からみれば、課長の様子はよろこんでいるようで不思議だった。

世渡甚六三課長 「ははは。別にうれしくはないけど、こういうものが来れば来るほど手掛かりが増えるからねえ」

      苦労人の世渡課長は、集めた証拠をコツコツと検証し分析していくのが得意のようであった。

細波雷蔵刑事 「課長、それはそうですが、内容がほとんど同じで、手掛かりにはなりませんよ」

      秀才型の細波刑事には、世渡方式は性に会わないようだ。

 渡り鳥旭警部 「細波君、そうとも言い切れないぞ。文体も微妙に変わってきているし、何かつかめるかもしれんぞ」

      ちょうど2人の中間型が、渡り鳥警部である。

世渡甚六三課長 「ま、あせらないことだね。ところで暇名さんは、この手紙をどう分析しますか?」

     課長は、名探偵の見解を求めた。

 暇名小五郎 「そうですねえ。また盗難が起こることは確実でしょう。実質的には、そのための挑戦状であることは間違いありません」

       全員異議なしである。

 暇名小五郎 「この事件の難しいところは、まだ行われていない対局がターゲットだというところです」

渡り鳥旭警部 「うむ。たしかにそうだ」

  暇名小五郎 「そして、その対局で駒の流儀に反する行為があって、初めて盗難が実行されることです」

細波雷蔵刑事 「つまり、将来起こりうることを予測して、備えなければならないということですね。これは難しい。不可能ですよ」

     課長も警部も同意見のようだった。

 暇名小五郎 「確かにそれを予測して防ぐというのは、神業かもしれませんね。但し、本当に偶然の所産なのかどうか怪しいです」

世渡甚六三課長 「ほお。つまり、どういうことだね?」       
          

駒の流儀・第6部  第31章

第31章「留守宅の確認」

  名人審議委員会で大吉委員長が指摘した疑問は、週刊ポテト社と暇名小五郎との打ち合わせ会議でも、重要な問題点とされていたのである。

   【スカイタワービル 週刊ポテト社】

皆本義経編集長 「そうするとだなあ、怪盗はあらかじめ、家人がみな留守だということを知っていたということか?」

 暇名小五郎 「まだ、断定はできませんが、捜査三課ではそう睨んでいるようですね」

皆本義経編集長 「暇名さんも、同意見ですか?」

 暇名小五郎 「知っていた可能性のほうが、強いでしょうね」

後呂記者 「でも、子供たちは学校ですし、夫は仕事に出かけてるし、奥さんだけですよね、問題なのは。だとすると、奥さんが買い物か何かで出かけるまで外で見張っていて、出かけた後、侵入したということもあるのではないですか?」

  暇名小五郎 「もちろん、あり得ます。しかし、奥さんが必ず買い物などに出かけるとは限りませんし、それまで外で待っているのは、誰かに怪しまれるでしょうね」

     昔と違って、車や冷蔵庫が普及した今は、むしろ毎日買い物に行くことのほうが、珍しいほうだった。

  温対記者 「でも、事前に家族全員が不在だということを、怪盗にわかりますかねえ?」

皆本義経編集長 「うむ。家族の留守があらかじめ分かっていたか、行ってみたら偶然誰もいなかったかの二者択一だが、暇名さんの言うように事前に知っていたと俺は思う」

  後呂記者 「理由はなんですか?」

皆本義経編集長 「お前たちならどうする? わざわざ高島平まで行くのに、出たとこ勝負なのか? 取材するときでもそうだろ。居るかいないか確認してから行くだろ」

  温対記者 「編集長、それはそうですけど、取材と泥棒は違うでしょう」

 後呂記者 「そうですよ。例えが無茶すよ」

皆本義経編集長 「やかましい! この怪人60面相は、行ってみねえとわからねえような、半端な盗みをやるとは思えねえと言ってるんだよ」

       旗色が悪くなると、怒鳴りだす。どこにでも居る上司のタイプである。

暇名小五郎 「はは。まだこの段階では、推測にしか過ぎませんが、私たちの方向性としては、あらかじめ家人の留守を知っていて侵入したという線でいきましょう」

  温対記者 「わかりました。じゃあ暇名さん、怪盗はどうやって全員の留守を確認したんですかねえ?」

暇名小五郎 「そうですねえ。温対さんなら、どうやって確認しますか?」

       逆に質問を返された温対は、返事に窮して考え込んだ。長い沈黙の後、口を開いたのは後呂記者だった。

 後呂記者 「平日ですから、子供が学校に行ってるのは誰でもわかります。ご主人が出かけていることも容易に想像できます。問題なのは奥さんだけですよね」

皆本義経編集長 「いや、そうでもないぞ。中田8段は将棋指しだ。普通のサラリーマンではない。家に居る確率も高いぞ」

  温対記者 「あ、そう言われるとそうですね」

皆本義経編集長 「だから、旦那も奥さんも共に不在だと知っている必要がある」

  温対記者 「奥さんは、棋士仲間の奥様たち数人と、渋谷で映画を観ていたそうですけど」

皆本義経編集長 「うーむ」

      駒音探偵団の間でも、ポイントだと指摘されている部分だが、暇名小五郎は先刻すでに7人の棋士の夫人であることは調査済みだった。
       だが、暇名探偵はあえて、この点について言及せず、沈黙したままだった。

後呂記者 「中田8段は、たしか研究会に参加していたんでしたよね」

  皆本義経編集長 「その研究会は、臨時のものなのか?」

温対記者 「いえ、毎週同じ時間に、同じ場所で行われてます。もう何年も前からだそうですよ」

  皆本義経編集長 「そうか。対局のある日とかなら、連盟のHPでも判るが、そういう研究会なら普通の人には判らんだろうな」

暇名小五郎 「はい、その通りです。連盟の越中事務局長さんに確認しましたが、一般の将棋フアンなどには、そういう研究会や勉強会の場所や日程などは教えないそうです」

  皆本義経編集長 「なるほど。ということは・・」

暇名小五郎 「そうです。怪盗は将棋関係者の可能性があります。それもプロ棋士のね」

      偶然にも、名人審議委員会と週刊ポテト社は全く同様の結論に達していた。
     序盤の構想力、着眼点は横一線のようだ。

駒の流儀・第6部  第30章

第30章「疑問点」

   名人審議委員会の会議は、特に決まった日というのはなくて、議題があればいつでも何度でも開催することが出来た。
    最近は、委員長でもある大吉三郎会長の平成製菓会議室を使うことが多かったが、この日も同じ会議室で会議が行われていた。
   
   会議の中心人物は、副委員長の不利舎耕介である。

不利舎耕介副委員長 「2件の盗難事件が発生してから、私と湯川委員の2人で、千葉県野田市と高島平団地まで行ってきました。まずは、その報告からします」

      岩下志麻に似た美人と一緒だとは、役得だった。丸潮新次郎は憮然とした表情である。

不利舎耕介副委員長 「千葉県のほうは既に報告済みですので、高島平について報告します。犯人はあくまでも、中田8段所有の本だけを目的としており、他の金目のものには一切手を出しておりません」

 喝采賢介委員 「すると、単なる泥棒ではなく、目的をもった確信犯ということですな」

湯川慶子委員 「はい。ですから部屋の中も荒らされておらず、家人も暫くの間、泥棒が入ったことに気がつかなかったようなの」

  大吉三郎委員長 「なるほど。それだけの犯人なら、当然指紋や足跡は残さなかったでしょうね?」

不利舎耕介副委員長 「そのとおりです。家の中には、靴を脱いで入っています。指紋もありません」

  湯川慶子委員 「目的の本を探すのも簡単でしょうから、多分侵入してから1分もかからず、仕事を終えたのね」

 丸潮新次郎委員 「そうだとすると、まるっきり手掛かりなしだね」

湯川慶子委員 「ええ。物的証拠は期待できないわね。ただ、いろいろ気になることはあったわ」

 大吉三郎委員長 「ほお。というと?」

不利舎耕介副委員長 「私が説明しましょう。まず1点目はですね、怪盗は土地勘があるのではないかと思うのです。現地へ行ってみて分かったのですが、広大な団地群で初めての人間が、簡単に場所を特定して出入りできるとは思えません」

  丸潮新次郎委員 「そうかなあ。あらかじめ下調べしたのではないのかねえ?」

湯川慶子委員 「それも考えられるけど、本1冊盗むのに下調べまでするかしら」

      湯川女史が、反論した。

不利舎耕介副委員長 「それに何度もうろうろするのは目立つし、むしろ以前に何度か訪れたことがある者の犯行と考えるほうが自然だ」

       湯川女史の応援を受けて、不利舎も気分が良かった。

 丸潮新次郎委員 「ふっ、いくら団地内が広くたって、あらかじめ目星をつけてから来れば、土地勘が無くたって迷わないですよ」

      湯川女史に否定されて、丸潮もムキになった。

不利舎耕介副委員長 「丸潮委員は、行ったことがないからそんなことを言うが、一度行ってみれば私の言うことがわかるよ」

  丸潮新次郎委員 「だがね・・・」

大吉三郎委員長 「ま、そのぐらいにして。どちらにも一理あります。ほかの点は?」

  不利舎耕介副委員長 「2点目は、鍵です。合鍵を持っていたということは考えにくい。施錠されているドアを開けて入ったところをみると、素人の泥棒ではないということです」

喝采賢介委員 「ドアは、壊されたわけではないのですな」

 湯川慶子委員 「そうなの。ただし、合鍵を作って入った可能性が全く無いわけではないわね」

丸潮新次郎委員 「私も湯川さんと同じで、なんらかの理由で合鍵を作れた可能性もあると思います」

  喝采賢介委員 「否定はできませんな」

不利舎耕介副委員長 「次に3点目は、なぜ中田8段が一番大切にしている本がわかったのかです」

  喝采賢介委員 「たしかに謎ですなあ」

湯川慶子委員 「もしかすると、奥様同士が親しいとか、家族ぐるみでつきあいがあるのかも知れないわねえ」

  喝采賢介委員 「すると怪人60面相は、プロ棋士ということになる」

丸潮新次郎委員 「その可能性は高いね」

  大吉三郎委員長 「私が一番の疑問点として挙げたいのは、怪盗は何故、その時間家人全員が留守だと知っていたのでしょうかねえ?」

不利舎耕介副委員長 「そうなんです。それが第4のポイントです」

  丸潮新次郎委員 「別に深く考えるほどではない。怪盗は一応行って見て、誰か在宅していたら別の日にするつもりだったのではないかな」

不利舎耕介副委員長 「馬鹿なことを言ってもらっては困る。普通は主婦が家に居る可能性のほうが高いんだよ。留守にするのは、せいぜい買い物に行くときぐらいだ」

  湯川慶子委員 「そうよね。それも子供が学校から帰ってきてから、留守番してもらって買い物に出かけるわよね」

    またまた湯川女史は、不利舎の肩を持った。女性は自分で気がつかないうちに、男同士を争わせる。

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