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第127章「盗難品返還」
暇名探偵から連絡を受けて、警視庁捜査三課の刑事たちが渡辺竜王の自宅を警戒したが、結局、怪人60面相は現れず、どの棋士にも盗難の被害はなかったのである。
それから数日経った日、銀座の暇名小五郎の事務所に宅配便が送られてきた。 送り主は、<怪人60面相>となっていた。
藤田舞子事務員 「先生、なんだか気持ち悪いですよお。爆弾とかじゃないですよね?」
暇名小五郎 「ははは。大丈夫。開けて見て」
恐る恐る藤田舞子が箱を開けると、書物や置時計、座布団、扇子等とともに手紙が添えられていた。
親愛なる暇名小五郎君
最後の流儀の被害者は、渡辺竜王だった。よく見破ったな。 潔く私の負けを認めよう。
今まで盗んだ品物を、全部送り返した。君から持ち主に返却していただきたい。 そして、怪人60面相による盗難事件は、二度と起きないことを約束する。
なお、偽者の怪人60面相が、私の名前をかたって殺人を犯した。 一体、誰なのかは知らぬが、私は盗みをしても、人殺しはしない。殺人犯は、私とは全くの別人である。
その証拠に、私は駒の流儀書を持っている。 この流儀書にある心得に基づいて、私は違反者を制裁しているのだ。 偽者は、巻物がどんなものなのか、何もわからないはずであるから、問いただせば、すぐに偽者だと分かるであろう。
怪人60面相
こうして、怪人60面相による盗難事件は、一応の決着がついたかのようだったが、その正体については、依然として疑惑のままであった。
なぜ、プロ棋士ではないかと噂される怪盗が、このような犯罪を犯したのか、名探偵暇名小五郎をもってしても未だ解明できずにいた。
【警視庁捜査三課の部屋】
渡り鳥旭警部 「怪人60面相が、盗難品を返却したからといって、その罪が消えるわけではない。なんとしても捕まえますよ」
細波雷蔵刑事 「僕も警部と同じ気持ちです。このままじゃ、引っ込みがつかないですよ」
担当の刑事としては、当然のことだった。
世渡甚六三課長 「うむ。それはそうだが、被害届も撤回されたし、あまり深追いしないほうがいいだろうなあ」
渡り鳥旭警部 「冗談じゃないですよ、課長。さんざん馬鹿にされてきたんですよ。このままにしてはおけません」
暇名小五郎 「はは。警部。あまり熱くならないでくださいな」
それでなくても、東京は狂ったような暑さだ。その上、心まで熱くなったのでは熱中症で倒れそうであった。
細波雷蔵刑事 「でも、暇名さん。怪人の奴もずいぶんあっさりと認めたものですねえ。拍子抜けですよ」
暇名小五郎 「そうなんです。私もなんかひっかかるんです」
世渡甚六三課長 「引っかかるというと?」
暇名小五郎 「はい。うまく説明できないのですが、あっさりし過ぎてる気がします。まるで、正解が出るのを待っていたかのようです」
世渡甚六三課長 「うむ」
暇名小五郎 「それから、まだはっきりしないのは、盗難と殺人の関係です」
世渡甚六三課長 「たしかにそうだ。何一つ解明されていない」
暇名小五郎 「私は、怪人60面相が言うように、殺人犯は別にいると思っていますので、捜査一課のほうにも出向いて、協力しようと思います」
細波雷蔵刑事 「何か、殺人のほうの手掛かりでも掴んだんですか?」
暇名小五郎 「まだ、はっきりとしたものはありませんが、少しずつ前進してます」
捜査三課の部屋を出ると、暇名は捜査一課の部屋へと移動した。
【警視庁捜査一課の部屋】
金銀銅鉄一課長 「こっちは、さっぱり進展なしだ。今のところお手上げだね」
暇名小五郎 「課長、そんな情けないこと言わないでくださいよ」
寅金邪鬼警部 「暇名さん、あっちこっち出掛けてるってことは聞いてるぞ」
暇名小五郎 「はは。耳が早いですねえ」
天然流誠捜査官 「怪人60面相が、敗北宣言を出したそうですね。さすが、暇名さんだ」
暇名小五郎 「ええ、まあ・・。でも死んだ振りかもしれませんよ」
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駒の流儀・第25部 第127章
第127章「盗難品返還」
暇名探偵から連絡を受けて、警視庁捜査三課の刑事たちが渡辺竜王の自宅を警戒したが、結局、怪人60面相は現れず、どの棋士にも盗難の被害はなかったのである。
それから数日経った日、銀座の暇名小五郎の事務所に宅配便が送られてきた。
送り主は、<怪人60面相>となっていた。
藤田舞子事務員 「先生、なんだか気持ち悪いですよお。爆弾とかじゃないですよね?」
暇名小五郎 「ははは。大丈夫。開けて見て」
恐る恐る藤田舞子が箱を開けると、書物や置時計、座布団、扇子等とともに手紙が添えられていた。
親愛なる暇名小五郎君
最後の流儀の被害者は、渡辺竜王だった。よく見破ったな。
潔く私の負けを認めよう。
今まで盗んだ品物を、全部送り返した。君から持ち主に返却していただきたい。
そして、怪人60面相による盗難事件は、二度と起きないことを約束する。
なお、偽者の怪人60面相が、私の名前をかたって殺人を犯した。
一体、誰なのかは知らぬが、私は盗みをしても、人殺しはしない。殺人犯は、私とは全くの別人である。
その証拠に、私は駒の流儀書を持っている。
この流儀書にある心得に基づいて、私は違反者を制裁しているのだ。
偽者は、巻物がどんなものなのか、何もわからないはずであるから、問いただせば、すぐに偽者だと分かるであろう。
怪人60面相
こうして、怪人60面相による盗難事件は、一応の決着がついたかのようだったが、その正体については、依然として疑惑のままであった。
なぜ、プロ棋士ではないかと噂される怪盗が、このような犯罪を犯したのか、名探偵暇名小五郎をもってしても未だ解明できずにいた。
【警視庁捜査三課の部屋】
渡り鳥旭警部 「怪人60面相が、盗難品を返却したからといって、その罪が消えるわけではない。なんとしても捕まえますよ」
細波雷蔵刑事 「僕も警部と同じ気持ちです。このままじゃ、引っ込みがつかないですよ」
担当の刑事としては、当然のことだった。
世渡甚六三課長 「うむ。それはそうだが、被害届も撤回されたし、あまり深追いしないほうがいいだろうなあ」
渡り鳥旭警部 「冗談じゃないですよ、課長。さんざん馬鹿にされてきたんですよ。このままにしてはおけません」
暇名小五郎 「はは。警部。あまり熱くならないでくださいな」
それでなくても、東京は狂ったような暑さだ。その上、心まで熱くなったのでは熱中症で倒れそうであった。
細波雷蔵刑事 「でも、暇名さん。怪人の奴もずいぶんあっさりと認めたものですねえ。拍子抜けですよ」
暇名小五郎 「そうなんです。私もなんかひっかかるんです」
世渡甚六三課長 「引っかかるというと?」
暇名小五郎 「はい。うまく説明できないのですが、あっさりし過ぎてる気がします。まるで、正解が出るのを待っていたかのようです」
世渡甚六三課長 「うむ」
暇名小五郎 「それから、まだはっきりしないのは、盗難と殺人の関係です」
世渡甚六三課長 「たしかにそうだ。何一つ解明されていない」
暇名小五郎 「私は、怪人60面相が言うように、殺人犯は別にいると思っていますので、捜査一課のほうにも出向いて、協力しようと思います」
細波雷蔵刑事 「何か、殺人のほうの手掛かりでも掴んだんですか?」
暇名小五郎 「まだ、はっきりとしたものはありませんが、少しずつ前進してます」
捜査三課の部屋を出ると、暇名は捜査一課の部屋へと移動した。
【警視庁捜査一課の部屋】
金銀銅鉄一課長 「こっちは、さっぱり進展なしだ。今のところお手上げだね」
暇名小五郎 「課長、そんな情けないこと言わないでくださいよ」
寅金邪鬼警部 「暇名さん、あっちこっち出掛けてるってことは聞いてるぞ」
暇名小五郎 「はは。耳が早いですねえ」
天然流誠捜査官 「怪人60面相が、敗北宣言を出したそうですね。さすが、暇名さんだ」
暇名小五郎 「ええ、まあ・・。でも死んだ振りかもしれませんよ」