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一年目 約9万3千 2009-02-27 10万人 2009-09-17 20万人 2010-04-27 30万人 2010-11-15 40万人 2011-06-22 50万人 2012-02-26 60万人
第101章「傍観者の演出」
全員が注目する中、暇名探偵は、あらためて怪人60面相が2人であることを強調してから、殺人を急ぐ理由に触れた。
暇名小五郎 「私の私見であり、推測に過ぎませんが、怪人60面相による盗難事件が発生した時には、偽者の人物は単なる傍観者だったのです」
米中会長 「うむ」
暇名小五郎 「ところが、どの時点か分かりませんが、ある事情で人を殺めなければならなくなったのです。そこでその人物は、怪人60面相の事件を利用することを思いついたのでしょう」
不利舎耕介副委員長 「うーむ。一連の犯行も含めて、殺しも怪人60面相の仕業にみせんけようとしたと・・・」
暇名小五郎 「そうです。その人物は、怪人60面相以上に悪知恵の働く男です」
丸潮新次郎委員 「<男>ですか?」
暇名小五郎 「はい。断定してよいでしょう」
渡り鳥旭警部 「それは間違いない。居酒屋で殺害された店主と飲んでいた男が、犯人であることは確実だ」
丸潮新次郎委員 「わかりました。続けてください」
暇名小五郎 「私の推測では、第3の犯行あたりではないかと思います。なぜかというと、そのあたりで怪人60面相の犯行の流れが見えてきており、容易に偽者を演じることが可能になった頃だからです」
喝采賢介委員 「なるほど。彼のパターンが読めるようになったわけだなぁ」
不利舎耕介副委員長 「つまり偽者は、<桂の流儀>あたりで犯行を決意し、7つの流儀が完成するまで待っていた。そしてその後に<王の流儀>を持ち出して、殺人を実行するつもりだったのだな」
大吉三郎委員長 「ところが、事情ができて<殺し>を急がねばならなくなったわけだ」
湯川慶子委員 「問題は、その事情なのね。難しいわねえ」
暇名小五郎 「はい。我々は、その殺人者が抱えている事情を探らなければなりません」
米中会長 「なるほど。君は、噂どおりの名探偵だ。納得した」
妖怪が納得したところで、各者が協力しあいながら、犯人の事情を追及するということを確認して、会議は終わりとなるところだった。 皆、帰りかけているところで、先ほどから何か考え込んでいた伊加職員が発言した。
伊加訓生職員 「あの、暇名さん。さっきの怪人60面相からの犯行声明文ですけど、どうも何か変だなと思っていたのですが、やっとわかりましたよ」
暇名小五郎 「そうですか。伊加さんも気がつきましたか」
伊加訓生職員 「はい。やはり暇名さんも、気がついていたのですね」
米中会長 「おいおい、2人とも。いったい何の話をしてるんだ?」
会長は怪訝そうだったが、他の出席者も同じで、皆、足を止めて2人を見ていた。
伊加訓生職員 「実は、あの手紙の中で、<最優秀棋士賞>の賞状を取り上げたと有りますが、三浦8段は、<最優秀棋士賞>は受賞していないのですよ」
暇名小五郎 「はい、そのとおり。渡り鳥警部がNHK杯戦で優勝した時の賞状が盗まれたと、はっきり言ってましたね」
渡り鳥旭警部 「そうだった。間違いない。実際、盗まれたのはNHK杯戦で優勝した時のものだ」
西村和義専務理事 「うむ」
米中会長 「つまり、どういうことになるのだ?」
暇名小五郎 「それにしても、伊加さんは、よく気がつきましたねえ。たいしたものです」
名探偵は、こころから感心していた。
伊加訓生職員 「でも暇名さん、僕にはその意味はわかりませんけど・・」
喝采賢介委員 「私が思うに、単純に勘違いしただけじゃないのかなぁ」
暇名小五郎 「はは。喝采さん、そのとおりなのです。つまり、怪人60面相は、それ程慌ててこの手紙を書いたということを示しています」
米中会長 「犯人が慌ててたというのかね?」
暇名小五郎 「はい。問題なのは、怪人60面相が賞状の名称を間違うほど、なぜそこまで慌てていたのかです」
温対記者 「暇名さん、それは何故なんですか?」
暇名小五郎 「犯人が、これだけ慌てていたということと、駒の流儀の順番が変更されたこととは、無関係ではありません」
不利舎耕介副委員長 「うむ、暇名君の推理が正しければ、それだけ犯人に余裕が無くなっていたということになる。ということは、今犯人の身辺は、非常に慌ただしい状況にあるということになるが、近いうちに新たな展開が起こることが予想されるね」
恐るべし不利舎耕介の懸念は、当っていたのである。
暇名探偵に敬意を表して、盗難犯と殺人犯は別人ということで、この先進んでいくが、盗難犯は捜査三課と名人審議委員会が担当し、殺人犯は捜査一課と関東連合会が協力しあうことになった。
温対記者 「ねえ暇名さん。きょうは盗難事件の犯行声明だったので、捜査一課の人や、関東連合会の人たちは来てませんでしたね」
暇名小五郎 「殺されたのは、アマ竜王ですからね。やはり、アマチュアの連合会のほうが適任でしょうね」
話をしながら、暇名と温対が1階まで降りていくと、出口付近で越中事務局長に声を掛けられた。
越中褌事務局長 「暇名さん、ちょっとお話があるんですが、いいでしょうか?」
いつもと違って、事務局長は神妙な顔つきだった。
暇名小五郎 「やあ、越中さん。もちろん構いませんよ。なんですか?」
越中褌事務局長 「暇名さん、実は怪人60面相の正体についてですが、私が調べた情報によると、間違いなくプロ棋士ですよ」
暇名小五郎 「ほお」
越中褌事務局長 「しかも、彼が中学生の頃は、友達から<ゆきちゃん>と呼ばれていました」
温対記者 「ほ、ほんとですか。なぜ、そんなことまで分かっているんですか?」
越中褌事務局長 「はい。話すととても長い話になりますし、まだ確証はありません。今は或る事情から、そこまで突き止めたと思っていてください。もう少したったら、詳しくお話しますので」
暇名小五郎 「わかりました」
越中褌事務局長 「それと、5人のプロ棋士を怪人60面相の候補に絞込みましたので、あとで伊加君に聞いてください」
これからすぐ出かけると言い残して、越中事務局長は、そそくさと出かけていった。
書式オプションに関するさらに詳しい情報...
駒の流儀・第20部 第101章
第101章「傍観者の演出」
全員が注目する中、暇名探偵は、あらためて怪人60面相が2人であることを強調してから、殺人を急ぐ理由に触れた。
暇名小五郎 「私の私見であり、推測に過ぎませんが、怪人60面相による盗難事件が発生した時には、偽者の人物は単なる傍観者だったのです」
米中会長 「うむ」
暇名小五郎 「ところが、どの時点か分かりませんが、ある事情で人を殺めなければならなくなったのです。そこでその人物は、怪人60面相の事件を利用することを思いついたのでしょう」
不利舎耕介副委員長 「うーむ。一連の犯行も含めて、殺しも怪人60面相の仕業にみせんけようとしたと・・・」
暇名小五郎 「そうです。その人物は、怪人60面相以上に悪知恵の働く男です」
丸潮新次郎委員 「<男>ですか?」
暇名小五郎 「はい。断定してよいでしょう」
渡り鳥旭警部 「それは間違いない。居酒屋で殺害された店主と飲んでいた男が、犯人であることは確実だ」
丸潮新次郎委員 「わかりました。続けてください」
暇名小五郎 「私の推測では、第3の犯行あたりではないかと思います。なぜかというと、そのあたりで怪人60面相の犯行の流れが見えてきており、容易に偽者を演じることが可能になった頃だからです」
喝采賢介委員 「なるほど。彼のパターンが読めるようになったわけだなぁ」
不利舎耕介副委員長 「つまり偽者は、<桂の流儀>あたりで犯行を決意し、7つの流儀が完成するまで待っていた。そしてその後に<王の流儀>を持ち出して、殺人を実行するつもりだったのだな」
大吉三郎委員長 「ところが、事情ができて<殺し>を急がねばならなくなったわけだ」
湯川慶子委員 「問題は、その事情なのね。難しいわねえ」
暇名小五郎 「はい。我々は、その殺人者が抱えている事情を探らなければなりません」
米中会長 「なるほど。君は、噂どおりの名探偵だ。納得した」
妖怪が納得したところで、各者が協力しあいながら、犯人の事情を追及するということを確認して、会議は終わりとなるところだった。
皆、帰りかけているところで、先ほどから何か考え込んでいた伊加職員が発言した。
伊加訓生職員 「あの、暇名さん。さっきの怪人60面相からの犯行声明文ですけど、どうも何か変だなと思っていたのですが、やっとわかりましたよ」
暇名小五郎 「そうですか。伊加さんも気がつきましたか」
伊加訓生職員 「はい。やはり暇名さんも、気がついていたのですね」
米中会長 「おいおい、2人とも。いったい何の話をしてるんだ?」
会長は怪訝そうだったが、他の出席者も同じで、皆、足を止めて2人を見ていた。
伊加訓生職員 「実は、あの手紙の中で、<最優秀棋士賞>の賞状を取り上げたと有りますが、三浦8段は、<最優秀棋士賞>は受賞していないのですよ」
暇名小五郎 「はい、そのとおり。渡り鳥警部がNHK杯戦で優勝した時の賞状が盗まれたと、はっきり言ってましたね」
渡り鳥旭警部 「そうだった。間違いない。実際、盗まれたのはNHK杯戦で優勝した時のものだ」
西村和義専務理事 「うむ」
米中会長 「つまり、どういうことになるのだ?」
暇名小五郎 「それにしても、伊加さんは、よく気がつきましたねえ。たいしたものです」
名探偵は、こころから感心していた。
伊加訓生職員 「でも暇名さん、僕にはその意味はわかりませんけど・・」
喝采賢介委員 「私が思うに、単純に勘違いしただけじゃないのかなぁ」
暇名小五郎 「はは。喝采さん、そのとおりなのです。つまり、怪人60面相は、それ程慌ててこの手紙を書いたということを示しています」
米中会長 「犯人が慌ててたというのかね?」
暇名小五郎 「はい。問題なのは、怪人60面相が賞状の名称を間違うほど、なぜそこまで慌てていたのかです」
温対記者 「暇名さん、それは何故なんですか?」
暇名小五郎 「犯人が、これだけ慌てていたということと、駒の流儀の順番が変更されたこととは、無関係ではありません」
不利舎耕介副委員長 「うむ、暇名君の推理が正しければ、それだけ犯人に余裕が無くなっていたということになる。ということは、今犯人の身辺は、非常に慌ただしい状況にあるということになるが、近いうちに新たな展開が起こることが予想されるね」
恐るべし不利舎耕介の懸念は、当っていたのである。
暇名探偵に敬意を表して、盗難犯と殺人犯は別人ということで、この先進んでいくが、盗難犯は捜査三課と名人審議委員会が担当し、殺人犯は捜査一課と関東連合会が協力しあうことになった。
温対記者 「ねえ暇名さん。きょうは盗難事件の犯行声明だったので、捜査一課の人や、関東連合会の人たちは来てませんでしたね」
暇名小五郎 「殺されたのは、アマ竜王ですからね。やはり、アマチュアの連合会のほうが適任でしょうね」
話をしながら、暇名と温対が1階まで降りていくと、出口付近で越中事務局長に声を掛けられた。
越中褌事務局長 「暇名さん、ちょっとお話があるんですが、いいでしょうか?」
いつもと違って、事務局長は神妙な顔つきだった。
暇名小五郎 「やあ、越中さん。もちろん構いませんよ。なんですか?」
越中褌事務局長 「暇名さん、実は怪人60面相の正体についてですが、私が調べた情報によると、間違いなくプロ棋士ですよ」
暇名小五郎 「ほお」
越中褌事務局長 「しかも、彼が中学生の頃は、友達から<ゆきちゃん>と呼ばれていました」
温対記者 「ほ、ほんとですか。なぜ、そんなことまで分かっているんですか?」
越中褌事務局長 「はい。話すととても長い話になりますし、まだ確証はありません。今は或る事情から、そこまで突き止めたと思っていてください。もう少したったら、詳しくお話しますので」
暇名小五郎 「わかりました」
越中褌事務局長 「それと、5人のプロ棋士を怪人60面相の候補に絞込みましたので、あとで伊加君に聞いてください」
これからすぐ出かけると言い残して、越中事務局長は、そそくさと出かけていった。