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第87章「婚約者」
もうすでに、暇名たちより先に訪ねて来た者がいた。
温対記者 「誰が訪ねて来たんだろ。あの、さしつかえなければ教えてくれませんか?」
藁人形法子 「不利舎という方と、喝采という方が一緒に来ました。時間はズレますが、同じ日の午後に山岡という方も来ております」
最初の2人は、名人審議委員会のメンバーだが、山岡という名前には心当たりが無かった。
暇名小五郎 「山岡さんという方は、何をしている人ですか?」
藁人形法子 「さあ、わかりません。ただ、興信所のような仕事をしていると申しておりました。なにか普通の人とは違うように見えましたけど・・」
暇名小五郎 「普通の人とは違うといいますと?」
藁人形法子 「いえ、私の印象なので。目つきが鋭いので、最初は警察の人かなと思ったのですが、違ったようです」
目つきが鋭くて、警察ではないとすれば、残るのは反対側にいる人間ということになる。 暇名には、おおよそどういう種類の人間かは、見当が付いたが、その種の人間がなんのために藁人形家に現れたのかまでは、わからなかった。
温対記者 「じゃあ、さっそくお聞きしますけど、警察も僕らマスコミも懸命に犯人像を探しています。そのために何か手掛かりになるようなことを、みつけたくて来ました」
母親は、良く分かったというように頷いた。
温対記者 「家族関係ですけど、兄弟姉妹は?」
藁人形法子 「いません。一人っ子でした」
母親は、声を詰まらせながら言った。
暇名小五郎 「そうですか。なおさら、お気の毒です」
暇名小五郎も仕事とはいえ、つらい面会だった。
暇名小五郎 「この家には、ご両親だけで住んでいるのですか?」
藁人形法子 「はい。夫婦2人だけで住むのは広すぎますが、いずれ息子が結婚したら、同居しようと思っていました」
暇名小五郎 「結婚のご予定でもあったのでしょうか?」
藁人形法子 「はい。婚約者がおりまして、この秋には結婚式を挙げる予定になっていました」
また母親は、目頭をぬぐった。
暇名小五郎 「その婚約者の方は、お幾つですか?」
藁人形法子 「27歳です。中学生の時から、付き合っていたみたいです。今は小浜市で、小学校の教師をしています。彼女も相当ショックを受けています」
温対記者 「あの、聞きずらいんですが、息子さんを恨んだり憎んだりするような人に、心当たりないでしょうか?」
藁人形法子 「いないと思います。少なくても殺されるほど恨まれるようなことは、していないはずです」
暇名小五郎 「ごもっともです。では、誰かにお金を貸していたとか、逆に借りていたというようなことは、どうでしょうか?」
藁人形法子 「それも考えられません。お金が足りなければ、実家に言ってきますし、お金を貸しても、無理やり返済を強要する必要も理由もありませんから」
温対記者 「あの、女性関係はどうでしょうか? たとえば婚約者の女性を誰かと争ったというようなことは?」
暇名小五郎 「相手の女性には、迷惑をかけませんので」
藁人形法子 「はい。どちらかというと、相手の女性のほうが積極的でしたので、問題になるようなことは起きませんでした」
今のところ、3つの理由のどれにも当てはまらないようだった。
暇名小五郎 「話は変わりますが、我々よりも前に訪ねて来た人たちは、どんなことを聞きに来たのでしょうか?」
藁人形法子 「そうですわねえ。どちらの人たちも、あなたたちと同じようなことを聞いていましたけど」
暇名小五郎 「そうですか。特に変わったことは聞かれなかったですか?」
藁人形法子 「はい。ほとんど同じですわ。山岡さんという方が、私だけではなくて、主人にも話しを聞きたいと申しておりましたが、主人は仕事が忙しくて、なかなか会えないとお伝えしました」
暇名小五郎 「そうでしょうね。で、ご主人は、何のお仕事をしているのでしょうか?」
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駒の流儀・第17部 第87章
第87章「婚約者」
もうすでに、暇名たちより先に訪ねて来た者がいた。
温対記者 「誰が訪ねて来たんだろ。あの、さしつかえなければ教えてくれませんか?」
藁人形法子 「不利舎という方と、喝采という方が一緒に来ました。時間はズレますが、同じ日の午後に山岡という方も来ております」
最初の2人は、名人審議委員会のメンバーだが、山岡という名前には心当たりが無かった。
暇名小五郎 「山岡さんという方は、何をしている人ですか?」
藁人形法子 「さあ、わかりません。ただ、興信所のような仕事をしていると申しておりました。なにか普通の人とは違うように見えましたけど・・」
暇名小五郎 「普通の人とは違うといいますと?」
藁人形法子 「いえ、私の印象なので。目つきが鋭いので、最初は警察の人かなと思ったのですが、違ったようです」
目つきが鋭くて、警察ではないとすれば、残るのは反対側にいる人間ということになる。
暇名には、おおよそどういう種類の人間かは、見当が付いたが、その種の人間がなんのために藁人形家に現れたのかまでは、わからなかった。
温対記者 「じゃあ、さっそくお聞きしますけど、警察も僕らマスコミも懸命に犯人像を探しています。そのために何か手掛かりになるようなことを、みつけたくて来ました」
母親は、良く分かったというように頷いた。
温対記者 「家族関係ですけど、兄弟姉妹は?」
藁人形法子 「いません。一人っ子でした」
母親は、声を詰まらせながら言った。
暇名小五郎 「そうですか。なおさら、お気の毒です」
暇名小五郎も仕事とはいえ、つらい面会だった。
暇名小五郎 「この家には、ご両親だけで住んでいるのですか?」
藁人形法子 「はい。夫婦2人だけで住むのは広すぎますが、いずれ息子が結婚したら、同居しようと思っていました」
暇名小五郎 「結婚のご予定でもあったのでしょうか?」
藁人形法子 「はい。婚約者がおりまして、この秋には結婚式を挙げる予定になっていました」
また母親は、目頭をぬぐった。
暇名小五郎 「その婚約者の方は、お幾つですか?」
藁人形法子 「27歳です。中学生の時から、付き合っていたみたいです。今は小浜市で、小学校の教師をしています。彼女も相当ショックを受けています」
温対記者 「あの、聞きずらいんですが、息子さんを恨んだり憎んだりするような人に、心当たりないでしょうか?」
藁人形法子 「いないと思います。少なくても殺されるほど恨まれるようなことは、していないはずです」
暇名小五郎 「ごもっともです。では、誰かにお金を貸していたとか、逆に借りていたというようなことは、どうでしょうか?」
藁人形法子 「それも考えられません。お金が足りなければ、実家に言ってきますし、お金を貸しても、無理やり返済を強要する必要も理由もありませんから」
温対記者 「あの、女性関係はどうでしょうか? たとえば婚約者の女性を誰かと争ったというようなことは?」
暇名小五郎 「相手の女性には、迷惑をかけませんので」
藁人形法子 「はい。どちらかというと、相手の女性のほうが積極的でしたので、問題になるようなことは起きませんでした」
今のところ、3つの理由のどれにも当てはまらないようだった。
暇名小五郎 「話は変わりますが、我々よりも前に訪ねて来た人たちは、どんなことを聞きに来たのでしょうか?」
藁人形法子 「そうですわねえ。どちらの人たちも、あなたたちと同じようなことを聞いていましたけど」
暇名小五郎 「そうですか。特に変わったことは聞かれなかったですか?」
藁人形法子 「はい。ほとんど同じですわ。山岡さんという方が、私だけではなくて、主人にも話しを聞きたいと申しておりましたが、主人は仕事が忙しくて、なかなか会えないとお伝えしました」
暇名小五郎 「そうでしょうね。で、ご主人は、何のお仕事をしているのでしょうか?」