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第74章「アマ竜王戦」
6月11日、関西将棋会館では、アマ竜王戦の決勝戦が行われていた。 先手は、前年のアマ竜王で、連覇を目指す藁人形茂幸。 対する後手は、北海道代表で、ここまで勝ち上がってきた葱巣鴨輔。人呼んで<北の狼>と称される強豪である。
アマ竜王戦とは、日本将棋連盟と読売新聞社が共催で行われる、全国規模の実力棋戦である。 各都道府県単位で、例年数ヶ月かけて予選が繰り広げられ、それに勝ち抜いた56人の代表により、毎年6月ごろ全国大会が開かれる。
予選リーグでは、4人1組のブロックに分かれ、それぞれ勝ち上がった28人が、決勝リーグのトーナメントで雌雄を決することになる。
この大会は、アマ名人戦、アマ王将戦、朝日アマ名人戦などと同じく、優勝者もしくはそれに準ずる者が、プロの公式戦に出場する資格を与えられる。 正確には、アマ竜王ベスト4に入ると、自動的に竜王戦6組での参加が認められるのである。
現アマ竜王の<藁人形茂幸>は、福島県出身、30歳、独身。 若いが、東京阿佐ヶ谷で居酒屋を経営している。
挑戦者の<葱巣鴨輔>は、北海道札幌市出身、37歳、妻と別居中。 札幌南市役所の職員。酒癖・女癖悪い。 前作<闇の棋士>でも登場しており、その強豪ぶりは説明の必要はないであろう。
決勝戦は、アマ竜王の<居酒屋風三間飛車>に対して、北の狼得意の<北極熊戦法>の対決となっていた。
週刊ポテト社の後呂記者は、毎年このアマ竜王戦の取材を担当していた。 観戦記事の解説は、野月弘毅7段に依頼していた。
後呂記者 「野月先生は、葱巣鴨輔さんとは親友だそうですね?」
まだ序盤で、将棋はゆったりとした流れになっていた。
野月弘毅7段<37歳> 「はい。彼とは小学校のころからの知り合いです」
後呂記者 「同級生なんですか?」
野月弘毅7段 「いいえ。学校は、まるで違います。将棋の小学生名人の札幌予選の時に、知り合いました。彼は強かったですよ」
後呂記者 「へえ、小学生の時からだと、ずいぶん対局してますね?」
野月弘毅7段 「うーん。もう数え切れないほど指してます」
後呂記者 「どっちが分が良かったんでしょうか?」
野月弘毅7段 「はは。ま、五分五分で、いい勝負でしたね」
後呂記者 「そうなんですか。野月先生といい勝負というのは凄いなあ」
葱巣鴨輔と親友だったという野月7段の横顔を紹介しておくことにする。
北海道出身、勝浦治9段門下。1973年生の37歳である。 順位戦B級2組 竜王戦3組。 どちらかというと、急戦を得意としており、早指し新鋭戦での優勝実績もある。 やや伸び悩んでいるが、タイトル獲得も期待される逸材である。
後呂記者 「たしか野月先生は、小学生名人になられてますよねえ」
野月弘毅7段 「ええ、そうでしたね。1985年の第10回大会でした」
話のついでに、小学生名人戦とは、日本将棋連盟が主催し、文部科学省・文化庁が後援、小学館・集英社が協賛する全国規模の小学生日本一を決める大会である。
各都道府県で予選が行われ、その予選を通過すると、3月に東日本・西日本の大会にそれぞれ出場できる。 そこでの上位4名で、優勝を争うことになるが、決勝戦は毎年NHK教育テレビで放映されている。
野月弘毅7段 「なにしろテレビに出るので、緊張しましたよ。だから今でも、NHKのテレビ対局の時は、緊張して結果が良くないです」
この野月7段が全国制覇したときの、札幌予選の決勝戦の相手が、葱巣鴨輔だったのである。
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駒の流儀・第14部 第74章
第74章「アマ竜王戦」
6月11日、関西将棋会館では、アマ竜王戦の決勝戦が行われていた。
先手は、前年のアマ竜王で、連覇を目指す藁人形茂幸。
対する後手は、北海道代表で、ここまで勝ち上がってきた葱巣鴨輔。人呼んで<北の狼>と称される強豪である。
アマ竜王戦とは、日本将棋連盟と読売新聞社が共催で行われる、全国規模の実力棋戦である。
各都道府県単位で、例年数ヶ月かけて予選が繰り広げられ、それに勝ち抜いた56人の代表により、毎年6月ごろ全国大会が開かれる。
予選リーグでは、4人1組のブロックに分かれ、それぞれ勝ち上がった28人が、決勝リーグのトーナメントで雌雄を決することになる。
この大会は、アマ名人戦、アマ王将戦、朝日アマ名人戦などと同じく、優勝者もしくはそれに準ずる者が、プロの公式戦に出場する資格を与えられる。
正確には、アマ竜王ベスト4に入ると、自動的に竜王戦6組での参加が認められるのである。
現アマ竜王の<藁人形茂幸>は、福島県出身、30歳、独身。
若いが、東京阿佐ヶ谷で居酒屋を経営している。
挑戦者の<葱巣鴨輔>は、北海道札幌市出身、37歳、妻と別居中。
札幌南市役所の職員。酒癖・女癖悪い。
前作<闇の棋士>でも登場しており、その強豪ぶりは説明の必要はないであろう。
決勝戦は、アマ竜王の<居酒屋風三間飛車>に対して、北の狼得意の<北極熊戦法>の対決となっていた。
週刊ポテト社の後呂記者は、毎年このアマ竜王戦の取材を担当していた。
観戦記事の解説は、野月弘毅7段に依頼していた。
後呂記者 「野月先生は、葱巣鴨輔さんとは親友だそうですね?」
まだ序盤で、将棋はゆったりとした流れになっていた。
野月弘毅7段<37歳> 「はい。彼とは小学校のころからの知り合いです」
後呂記者 「同級生なんですか?」
野月弘毅7段 「いいえ。学校は、まるで違います。将棋の小学生名人の札幌予選の時に、知り合いました。彼は強かったですよ」
後呂記者 「へえ、小学生の時からだと、ずいぶん対局してますね?」
野月弘毅7段 「うーん。もう数え切れないほど指してます」
後呂記者 「どっちが分が良かったんでしょうか?」
野月弘毅7段 「はは。ま、五分五分で、いい勝負でしたね」
後呂記者 「そうなんですか。野月先生といい勝負というのは凄いなあ」
葱巣鴨輔と親友だったという野月7段の横顔を紹介しておくことにする。
北海道出身、勝浦治9段門下。1973年生の37歳である。
順位戦B級2組 竜王戦3組。
どちらかというと、急戦を得意としており、早指し新鋭戦での優勝実績もある。
やや伸び悩んでいるが、タイトル獲得も期待される逸材である。
後呂記者 「たしか野月先生は、小学生名人になられてますよねえ」
野月弘毅7段 「ええ、そうでしたね。1985年の第10回大会でした」
話のついでに、小学生名人戦とは、日本将棋連盟が主催し、文部科学省・文化庁が後援、小学館・集英社が協賛する全国規模の小学生日本一を決める大会である。
各都道府県で予選が行われ、その予選を通過すると、3月に東日本・西日本の大会にそれぞれ出場できる。
そこでの上位4名で、優勝を争うことになるが、決勝戦は毎年NHK教育テレビで放映されている。
野月弘毅7段 「なにしろテレビに出るので、緊張しましたよ。だから今でも、NHKのテレビ対局の時は、緊張して結果が良くないです」
この野月7段が全国制覇したときの、札幌予選の決勝戦の相手が、葱巣鴨輔だったのである。