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駒の流儀・第7部第34章「地蔵流」 大阪市福島区の関西将棋会館では、王将戦1次予選が行われようとしていた。 すでに杉本政隆7段に勝って、トーナメント2回戦に進んできたのが、南9段の対戦相手の山崎貴之7段である。 まもなく対局開始の午前9時になるところだったが、5階の対局室には、まだ山崎7段は現れなかった。 南9段は表情ひとつ変えず、微動だにしなかった。 この関西の強豪、南良一9段を紹介しておこう。 竜王戦4組 順位戦B級2組 A級在位も長い。 2003年には、通算600勝達成で将棋栄誉賞を受ける。 将棋フアンの間では<地蔵流>と呼ばれる。 時刻は、とっくに9時を過ぎ、10時になろうとしていた。 山崎貴之7段 「すみません。遅くなりました」 南9段は、上目遣いに山崎を見たが、何事もないように会釈をした。 山崎貴之7段 「車が接触事故を起こしちゃって、どうもすみません」 山崎は、走ってきたのか、まだ息を切らしていた。 南良一9段 「怪我はなかったの?」 南は、いつものようにボソッと言った。 山崎貴之7段 「ええ。擦っただけなんすけど、保険会社を呼んだりして時間がかかってしまって」 事故で遅れようが、出産で遅れようが、誰も何も言わぬ。 こうして、山崎7段の消費時間が遅れた分だけ加算されて、対局が開始された。 この山崎7段の1時間の遅刻は、温対記者の取材を通して、暇名小五郎の耳にも入った。 暇名小五郎 「温対さん、そんなことがあったのですか。なるほどねえ」 暇名探偵が考え込むのをみて、温対記者もピンとくるものがあった。 温対記者 「暇名さん、この対局が怪人60面相と関わりがありそうですよね」 暇名小五郎 「はい。さすが温対さんです。次の盗難は、おそらくこの対局です」 いつもは口を濁す暇名探偵が、珍しく断定した。 温対記者 「じゃあ、何が盗まれるんですかねえ?」 暇名小五郎 「それをこれから検討しましょう。一緒に警視庁へ行きましょう」
銀座の暇名探偵事務所から、霞ヶ関の警視庁まではタクシーで行くことにした。
投稿者: 悪魔仮面 投稿日時: 木, 04/15/2010 - 10:44 categories [ ]
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