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第16章「関根名人記念館」
暇名探偵と温対記者は、池袋からJR埼京線で大宮まで行き、東武野田線に乗り換えた。
温対記者 「暇名さん、関根名人記念館には行ったことがあるんですか?」
駅で買ったゆで卵を食べながら、話しかけた。
暇名小五郎 「いや、初めてです。温対さんは?」
暇名のほうは、缶コーヒーを飲みながら答える。
温対記者 「僕もありません。それに恥ずかしながら、その名前も知りませんでした」
暇名小五郎 「はは。私も同じですよ」
温対記者 「それはそうと、怪人60面相は予告どおり、盗みを働いたということですよね?」
暇名小五郎 「はい。そうなりますね」
温対記者 「最初、暇名さん宛てにきた手紙では、座の心得に反した者には、罰として何か大切な品物を盗むと書いてあったと思いますが、それが座布団のことを指していたと考えていいですか?」
暇名小五郎 「そうだと思います。いずれ何かが盗難に遭うとは思っていましたが、座布団とは気がつきませんでした。迂闊でした」
温対記者 「いやあ、そんなこと誰も気がつきませんよ」
怪人60面相の話をしている間に、列車は川間駅についた。 川間駅の改札を出ると、北と南と出口が二箇所あった。駅員に尋ねると、北口からは朝日バス、南口には<まめバス>が出ていた。
温対記者 「ねえ暇名さん、まめバスのほうに乗りませんか? おもしろそうですよ」
暇名小五郎 「いいですねえ。そうしましょう」
<まめバス>というのは、緑色の小さな可愛いバスで、どこまで乗っても1回一律に100円だった。 難点は1時間に1本しか運行されていないところだが、幸い暇名たちが乗るバスは、30分も待たないうちに乗車できた。
温対記者 「ほんとに小さなバスですよねえ。それにバスの前部に100と、丸く大きく囲ってあるのには笑えますよ」
暇名小五郎 「ははは」
温対たちが乗ったのは、<関宿中央ターミナル行>というバスで、<いちいのホール>という駅まで行く。 バスの中から眺める景色は緑がいっぱいで、清清しい気分にさせてくれた。
<いちいのホール>で降りると、すぐ目の前に大きな建物が見えた。 これが<いちいのホール>である。
温対記者 「きれいな建物ですねえ。この中にあるんですね」
建物の中に入って、エレベーターに乗ると5階を押した。 尤も、ここは5階が最上階だった。 記念館の入り口右横には、柔道場のような大きな狐色の木の看板が掛けられていた。 そこには<野田市 関根名人記念館>と書かれてあった。
温対記者 「へえ。結構広いですねえ。あ、こっちには対局室もありますよ」
暇名小五郎 「ええ。洒落てますね」
展示室の入り口には、来客者用の記帳簿が置いてあった。 係りの人に来意を告げてから、それぞれ自分の名前を記帳していると、奥の方から2人やって来た。 ひとりは館長の山蛇知之、もう1人は職員の亀臨辰彦だった。
山蛇知之館長 「東京からいらした暇名さんでしょうか?」
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駒の流儀・第3部 第16章
第16章「関根名人記念館」
暇名探偵と温対記者は、池袋からJR埼京線で大宮まで行き、東武野田線に乗り換えた。
温対記者 「暇名さん、関根名人記念館には行ったことがあるんですか?」
駅で買ったゆで卵を食べながら、話しかけた。
暇名小五郎 「いや、初めてです。温対さんは?」
暇名のほうは、缶コーヒーを飲みながら答える。
温対記者 「僕もありません。それに恥ずかしながら、その名前も知りませんでした」
暇名小五郎 「はは。私も同じですよ」
温対記者 「それはそうと、怪人60面相は予告どおり、盗みを働いたということですよね?」
暇名小五郎 「はい。そうなりますね」
温対記者 「最初、暇名さん宛てにきた手紙では、座の心得に反した者には、罰として何か大切な品物を盗むと書いてあったと思いますが、それが座布団のことを指していたと考えていいですか?」
暇名小五郎 「そうだと思います。いずれ何かが盗難に遭うとは思っていましたが、座布団とは気がつきませんでした。迂闊でした」
温対記者 「いやあ、そんなこと誰も気がつきませんよ」
怪人60面相の話をしている間に、列車は川間駅についた。
川間駅の改札を出ると、北と南と出口が二箇所あった。駅員に尋ねると、北口からは朝日バス、南口には<まめバス>が出ていた。
温対記者 「ねえ暇名さん、まめバスのほうに乗りませんか? おもしろそうですよ」
暇名小五郎 「いいですねえ。そうしましょう」
<まめバス>というのは、緑色の小さな可愛いバスで、どこまで乗っても1回一律に100円だった。
難点は1時間に1本しか運行されていないところだが、幸い暇名たちが乗るバスは、30分も待たないうちに乗車できた。
温対記者 「ほんとに小さなバスですよねえ。それにバスの前部に100と、丸く大きく囲ってあるのには笑えますよ」
暇名小五郎 「ははは」
温対たちが乗ったのは、<関宿中央ターミナル行>というバスで、<いちいのホール>という駅まで行く。
バスの中から眺める景色は緑がいっぱいで、清清しい気分にさせてくれた。
<いちいのホール>で降りると、すぐ目の前に大きな建物が見えた。
これが<いちいのホール>である。
温対記者 「きれいな建物ですねえ。この中にあるんですね」
建物の中に入って、エレベーターに乗ると5階を押した。
尤も、ここは5階が最上階だった。
記念館の入り口右横には、柔道場のような大きな狐色の木の看板が掛けられていた。
そこには<野田市 関根名人記念館>と書かれてあった。
温対記者 「へえ。結構広いですねえ。あ、こっちには対局室もありますよ」
暇名小五郎 「ええ。洒落てますね」
展示室の入り口には、来客者用の記帳簿が置いてあった。
係りの人に来意を告げてから、それぞれ自分の名前を記帳していると、奥の方から2人やって来た。
ひとりは館長の山蛇知之、もう1人は職員の亀臨辰彦だった。
山蛇知之館長 「東京からいらした暇名さんでしょうか?」