魔物の棲家・第20部

第135章 「嫁候補」

         暇名小五郎 「それは楽しみですねえ」

 関根銀四郎 「君たちも一緒にどうかね?」

       暇名小五郎 「はは。お誘いはうれしいのですが、なにしろまだ仕事が片付いていないものですから」

関根銀四郎 「ははは。相変わらずだのお」

    藤田舞子は、一緒に行きたそうにしていたが、丁度その時、藤田舞子の携帯に電話がかかってきた。

  藤田舞子事務員 「もしもし。あら・・・。今夜?」

             舞子は、急に声をひそめた。

   藤田舞子事務員 「急なのね。場所はどこなの?・・・ちょっと待ってね」

      藤田舞子は、聞かれたくない電話だったようで、そのまま教室の玄関のほうへ出て行って、ドアを閉めた。

小茶園猛主任講師 「舞子ちゃん、ボーイフレンドからみたいですね」

         暇名小五郎 「ははは。はて、ボーイフレンドなんかいたかなあ?」

 世渡甚六席主 「それは可哀想だよ。若くて、きれいな娘さんなんだから。はは」

    関根銀四郎 「孫の嫁さんにどうかのお」

小茶園猛主任講師 「関根先生。いくらなんでも年が違いすぎますよ。ははは」

   関根銀四郎 「そうかのお。若い者の年は、わからんもんだのお。はははは」

       関根総裁の、おどけた仕草に、皆大笑いだった。

  藤田舞子事務員 「あら、皆さんで何をそんなに笑ってるんですか?」

      5分ほどで、舞子が戻って来た。

世渡甚六席主 「いや。なに、たいしたことではない。ははは」

  藤田舞子事務員 「なーに?。きっと私の悪口言ってたんでしょ?」

   小茶園猛主任講師 「そんなことは無いですよ。誉めてたんですよ。美人でいい子だって」

   藤田舞子事務員 「ほんとうですかあ?」

  小茶園猛主任講師 「本当ですよ。関根先生なんか、お孫さんの嫁にもらいたいぐらいだって言ってますから」

     藤田舞子事務員 「ははーん。やっぱり、そういうことなのね。馬鹿にしてたわけね」

 世渡甚六席主 「ははは。困ったなあ」

      藤田舞子が、美人で可愛いことは事実であり、皆が認めることだった。

  藤田舞子事務員 「もういいわよ。それより、この教室は休みは無いんですか?」

       舞子は、また来るつもりで聞いた。

小茶園猛主任講師 「年中無休みたいなもんですよ。この間、2日間ほど休みましたけど、めったに休むことは無いです」

      おそらく葬儀の関係であろう。

   藤田舞子事務員 「あら、2日も休みがあったんですか? いいわねえ。うちの事務所は、ほとんど休みは無いんですから」

       舞子は、言いながら暇名を睨みつけた。

           暇名小五郎 「ははは」

      暇名は、知らん顔でとぼけた。

  藤田舞子事務員 「ねえ、先生。お友だちが晩御飯一緒に食べに行こうって言うので、そろそろ帰りませんか?」

        暇名小五郎 「うん、いいよ。またゆっくり来ればいいしね」

      暇名は、内心食事代が助かったと思っていた。

 関根銀四郎 「もう帰るのかね?」

          暇名小五郎 「はい。またそのうち、落ち着いたら名古屋まで遊びに行きます」

  関根銀四郎 「うむ。あっ、そうだ。暇名君に儂の孫を紹介しておくかのお」

       関根総裁は、他の少年たちの対局を見ていた孫を呼んだ。

   関根銀四郎 「この子が儂の孫でのお。それが、すこぶる強い。儂でもかなわないほどじゃよ」

     総裁は、孫が可愛くてたまらないというように、目を細めた。
 

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